「働き方改革は9割の企業で失敗している」
とある企業が、働き方改革を実施している企業528社(東証1部上場企業を含めた、
製造、流通、金融、自動車など19業種)に実態調査をしたところ、
ほとんどの企業は改革に失敗しているとの驚くべき数値がでてきました。
働き方改革は全社に渡ってのプロジェクトですが、そもそも一般的なプロジェクトの
成功率はどの程度であり、どのような理由で失敗しているのでしょうか。
情報システムの導入プロジェクトにおける統計をもとに考えてみましょう。
<質問1>
一般的なプロジェクトの成功率は何%でしょうか?
日経コンピュータが行った2018年の調査によると、成功率は52.8%でした。
なお、2008年に実施した同じ調査における成功率は31.1%でした。
10年前より成功率が上がっているものの、プロジェクト管理が進んでいる分野でも
いまだ失敗するプロジェクトが半数存在するという状況です。
そして、プロジェクトが失敗する理由は「要件定義の不備」が2018年と2008年ともに上位に挙がっています。
「要件定義の不備」とは、プロジェクトの目的や目標が不明瞭であることです。
比較的、どこでも通ずる理由がプロジェクト失敗の要因となっていました。
では、これを働き方改革に視点を置き、次の2つの質問を皆様に問いかけたいと思います。
<質問1>
会社で進める「働き方改革」の目的や理由をあなたは説明できますか?
また、経営層から社員まで、大凡、目的についての認識が一致していると感じていますか?
<質問2>
いま働いている会社で実施している「働き方改革」となる施策はいくつ思い浮かびますか?
そして、その認識は社内で大凡一致していますか?
質問1について、マネジメント層や人事・総務などの管理部門の皆様の努力や思いが届かず
虚しい気持ちを味わったご経験があれば、働き方改革の目的や理由が会社全体で一致していない可能性が高いです。
さらに、質問2は、会社が実施している働き方改革の全体像を把握できている社員がどの程度いるかを問う質問です。
働き方改革が9割失敗している昨今では、社内全体の認識が一致している企業は少ないと思います。
要因は、働き方改革を目的としたプロジェクトが、人事だけでなく総務や情シスなど、
多数の部署(部門)が個別もしくは連携を取りながら進めていることが挙げられます。
働き方改革が多数の部門によって進められることによって見るべき方向にズレが生じ、
全体像を把握しにくくさせ、結果的に働き方改革の目的が不明瞭になっている事例を多く目にしています。
そして、質問1、2の認識の相違が大きければ大きいほど、働き方改革が思うように進まず、
次のような状態になっているのではないでしょうか。
・実現したい働き方があいまいな状態になっている。仕組みは導入したが運用ができていない。
・実施する施策に統一感がなく、予想していた効果を発揮していない。社内から不満がでている。
では、次回、東京大学大学院経済学准教授との研究によって導き出している
働き方改革を成功させる3つのポイントをご紹介します!